オーストラリア英語

去年の半ばに仕事を辞め、少し早めのリタイア生活に入ったのですが、まだ頼まれれば、簡単な通訳や翻訳の単発の仕事をお引き受けするようにしています。

そういった仕事は、常時来るわけではないのですが、場合によっては緊急を要すものもあり、自由な時間がある私は、以前より引受やすく、また内容によってはとても面白いものがあるので、楽しんでやっています。

 

さて、去年お引き受けした仕事の一つに、オーストラリアの会社で行った英語のインタビューを日本語に翻訳するというものでした。

日本から送られてきたオーディオを聞き、一週間のデッドライン内に、それを翻訳して文字に興します。

仕事自体は、何度も何度も同じ箇所を聞き、行ったり来たりしながら翻訳していくので、文字の翻訳の何倍もの時間がかかるのですが、インタビュー内容が面白かったので、肩は凝りましたが、やりがいのあるお仕事でした。

 

日本には優れた翻訳者が何人もいるのでしょうが、ほとんどのプロの翻訳者はアメリカで勉強、または生活した人が多いからでしょう、どうやらオージーイングリッシュを理解する貴重な存在として、どうやら私は少し重宝されているようです。

以前から、私に来る仕事は全てオーストラリア人、またはニュージーランド人、(時々イギリス人もありましたが)へのインタビューかレクチャーの翻訳でした。

 

さて、オージーイングリッシュでよく知られているのが、「エイ」を「ダイ」と発音する事。例えばTodayが「トゥデイ」ではなく、「トゥダイ」と聞こえます。

8は「エイト」ではなく、「アイト」。

こちらの典型的な(ちょっと田舎のオジサンの)挨拶言葉、「G'day mate!」もお土産屋さんに売られるTシャツにプリントされています。

これ、グッダイマイトじゃないんですよ。

本当にこの言葉をよく使うオジサンの発音は、ほとんど「ギダイマイ」(ギとマイにアクセントを置く)になってます。

 

けれど、オーストラリア英語の難しさはそれだけではありません。

オーストラリア人は英語を短くしてしまうのです。

日本でも友達が「ディスリスペクトする」というのを、「ディスる」と言っていて、それってどういう事?と聞いたことがあるのですが、あれに似ていますね。

 

日常よく使う言葉で次の言葉の意味はおわかりになるでしょうか?

1.ブレッキー Brekky

2.サニー Sunny

3.テリー Telly

上から、Breakfast、Sunglasses、Televisionです。短くした上で、最後にYをつけるのが特徴でしょうか。

他にも、少しでも長い単語はみんな縮めてしまいます。

PostyはPostman(郵便配達人)だったり、RockyはRockhampton(ロックハンプトンという地名)だったり。

 

先日Youtubeで、オーストラリア人と結婚しているアメリカの女優さんのインタビューを見ました。

彼女はクリスマスホリデーの間、家族でご主人の家族とクリスマスを過ごす為にシドニーに滞在していたようです。

朝、テレビのニュースで、アナウンサーが番組の最後に

"今日は気温が30度を超え、紫外線も朝から非常に強いという予報が出ています。

Don't forget your sunny (sunglasses) when you go out for Sunday Brekky (Breakfast)

日曜日の朝ごはんに出かけるのなら、サングラスをお忘れなく"

と言ったらしく、一瞬何語を話しているのか分からなかったそうです。

 

「オーストラリアは自然も豊かで伸び伸びしているし、子供はオーストラリアの学校に入れてもいいかもしれないわね、と主人と話し合っていたんだけれど、撤回することにしたわ。だって、英語は半分しか勉強しないんですもん。

これ、全国放送のニュースでアナウンサーが言ってたんですよ。信じられないでしょ。」

...と笑いながら語ってました。

 

というわけで、日本には優れた通訳や翻訳のプロが数多くいるにも関わらず、訛の強いオーストラリア英語を、耳で聞き取れる数少ない翻訳者として、わざわざ南半球までリモートの仕事が回ってくる事に感謝をしている今日この頃なのでした。